暗示的な公園

            ―――黒服の天使が池の周りを飛びまわっている。ある微妙な速さで。速すぎず、遅すぎもしない、環境に配慮したスピードで。―――「新しい書き手の発掘を目的に実施」あるいは「既成にとらわれぬ清新な作品を期待」している、とある秘密結<!--more-->社に報告してみたのだが、(ぼくの文体が論理的でなかったせいかもしれい)黙殺され、泥酔した誰かが発砲した弾丸が、ぼくの左手首に命中した。―――双子の看護婦A―Bが、ぼくの両耳のそばで静止して(Aが右側、Bが左側)初期のスピーカー装置を再現している。その音で視覚化された女神が朗読する「紫式部」は、下っ端の天使による批評注釈版。―――スケルトン・ピアノで伴奏しているのは、さっきの黒服の妹。流暢なブラインドタッチで、「歴史を騒がせた悪女たち」の感情を逆撫でする。―――掲示板では、良い声のオッサンがリアルタイムで歌詞を考えている。―――♪カラス(香裸棲)たち、コイ(恋)たち、ハト(hart)たち、カメ(花女)たち。未来の音楽家は公園に棲んでいる。それは、いつだって楽しい。いつだって他の詩意……。―――その一方で、秘密結社の5ヶ年計画は、着々と進行している。池の北西方面にビルがニョキニョキ繁殖している。その林の中にある、青いビニール製の小さな家。あれが地下都市の入口であることを知る者は少ない。―――洗濯物でカムフラージュされた入口で、オッサンはビールを飲みながら、良い声で歌っている。―――♪カラス(香裸棲)たち、コイ(恋)たち、ハト(hart)たち、カメ(花女)たち。未来の音楽家は公園に棲んでいる。それは、いつだって楽しい。いつだって他の詩意……

     

現代とか社会とかの認識の仕方が、自分をどうのこうのというよりわりと批評的、クリティカルな見方をしてて、結構独特な個性じゃないかなと。それもユーモラスにおもしろく表現できるし、描写のテクニックもあるしね。 関富士子「研究作品選」『詩学/2000.8』pp..124-126。