密やかな召集

            ぎこちない腕をひきづりながら、輪郭の紅い、

黒い液体をゴクゴクと飲む。こよい、カラダ が心地よい麻痺状態で、ナニか特別な日の前 夜である、こよい、脳がピクピクと寒気を感 じている。天上の人々がラッキーな、元、地 上人でしかないと気づいた日から数えて、ち ょうど二八年後のココで、組織の複製は新し い段階に入るだろう。中枢を操作する技術を 身につけた人間が、密かに、召集され、彼ら だけに分かる記号体系で書かれたメモが全員 に配られる。行動とは違うレベルの変化が、 彼らに関係して始まるだろう。こよい、密か に静かに……

   

『抒情文芸/1999.9』