脳の床

            脳の床に、

重くて薄い平面が 降り積もっている。 何枚も何枚も、 何枚も何枚も。 紅くて暗い空間が どんどん狭くなっていく。 溶かす効果のある黒いものを2盃 振りかけたのだが、 固まって でこぼこになり、 収拾がつかなくなってしまった。

動かないギター弾きが描いた踊る少女が 僕の平面の上に うずくまっている。 密かに大胆に 忍び込んでくる。 明るい密室の中で僕は ギター弾きが選ばなかった 失われた人生を 過ごしてる。

ファシスト的な古い栄光者は必要悪だが、 僕には、関わらないでほしい。 その花粉が1ダース 脳の壁面に吸い込まれると、 2ダースの プラスティックの 黄色い花が浮かび上がってきた。 早く薬草で中和しなくては……

良くない壁画が 忘れられた芸術家たちによって 次々に描かれていく。 肉の臭いがする。 息苦しくて 気持ち悪い空間だ。 そこは 僕の中の一部なのだが、 どこか遠いところに あるような気がする。

   

詩と思想/2001.8』