サイホン式

            動く家具が影を操作している。

水とスプーンが光を輝かせ、 バーテンダーが湯気を仕立てる。 そりゃ、貴婦人も訪れるだろう。 サイホンの上でまねき猫が 意味ありげに入り口を指さしている。 ポプラが天井まで届くとき 僕の声は一時的に機能しなくなる。 何かが僕の眼鏡の内側を 横切っていった。 タイムマシーンによって 歴史の実体が分かったからって それがどうしたと言うのだろう? 僕の歴史の実体って それがどうしたと言うのだろう? 貴婦人たちが囲碁のように 僕のボックス席をとりかこんでいる。 誰かさんのように 近眼を利用してねつ造しよう。 この電球を5分以上見つめ続けた 初めての人物になろう。 そして、傘の無い外に出よう。 食器を片づけられる前に。