眠らない夜

            内蔵がシビれて、グニャグニャたるんでいる。

身体がネイティブになってくる。 熱い。 幼児体験が動きだす。 ゴニョゴニョと右肩の上で ハイハイしている。 ヨチヨチしている。 遅い。 もっと速く。速く、速く! 彼女との薄暗い月夜のF棟屋上での アジア的な生活が 急速に美化されていく。 本当はもっと、もっともっと、 私小説なのに……。 秋田の冷酒に、名前にシが付く魚の天ぷら。 打ち明け話が加速する。 西荻のセンスのある顔をしたメスライオンは 若き日の、有賀アナに似ている。 マチルダ中尉のように気品を漂わせ、 マルボロメンソールライトBOXのフタを 片手で開ける。 その夜、 親からの電話は むかしの友達の 悲惨なその後ばなしばかり。