視-線をたどって

            僕に、まっすぐに向けられた視-線をたどって、彼女の意識空間へもぐり込む。意外に明るい、その狭くて広大な、重さのない何かの中で、僕は記憶装置を見つけるためにスタコラサッサ…スタコラサッサ…と飛びまわる。<!--more-->

分からない、まったく見当もつかない。養老先生が描いてくれた地図を持っているのだけれど、いかんせん、専門的すぎて……。どこでもいい。侵入しよう。

ノドか渇いた。ここの壁面は水分を多く含んでいるようだが、これを飲むのには、なんとなくエロティックな抵抗を感じる。罠かもしれない。我慢しよう。早く登録しなければ。僕が消えてしまう……。彼女の外観が思い出せない。イメージしても、イメージしても、どれもこれも違うと感じる。僕は今、どの次元にいるのだろう? ここは本当に、彼女の内部なのだろうか?

もしかして、もう、無-意識にまで、来てしまっているということは……、だとしたら予定外だ。そこまでは考えていなかった。少し恐くなってきた。前代未聞であることは確かだが……。彼女の深層を操作できたとして、それからどうなるのだろうか?

虚しい結末になりそうだ……。少し眠ろう。起きたら、何かが変わっているかもしれない。僕の外観は元気だろうか? とにかく眠ろう。思考力を信じよう。どんなことがあっても……。