このクラスにはいじめっ子がいます。 (小説・詩)

            「このクラスにはいじめっ子がいます。それからいじめられっ子もいます。」

 マサトは言った。クラスの全員の目を見わたすような、選挙の演説者のような目をして。 「ぼくは転校をたくさんしたから、たくさんのクラスを見てきました。いじめがあるクラスもありましたが、いじめがないクラスもありました。  いじめがあるクラスには、いじめっ子といじめられっ子の両方がいました。  そして、いじめがないクラスには、いじめっ子か、いじめられっ子のどちらかがいませんでした。」  今にも誰かが、「あたりまえやん」と言いそうだったが、けっきょく誰もしゃべらず、クラスはシーンとしたままだった。あやの先生がだまったままマサトを見つめ、続きの言葉を待っていた。 「良い学校で、良いクラスで、良い先生がいても、いじめっ子といじめられっ子がいれば、いじめがおきると思います。  悪い学校で、悪いクラスで、悪い先生でも……、いじめっ子かいじめられっ子がいなければ、いじめはおきないと思います。」  今度も誰も何も言わなかった。先生もだまったままだった。  マサトはみんなが自分をじっと見ているのにはじめて気づいた。ずいぶん長い間、前に出て話し続けているような気がしてきて、急にこわくなった。 「いじめっ子がなんでいじめっ子になるのか、いじめられっ子がなんでいじめられっ子になるのかは、まだ分かりません。 終わりです。」  先生は黒板の前に出てきて、マサトに手で、席にもどるように合図した。 「今日のホームルームはこれで終わりです。にっちょくさん、帰りのあいさつをお願いします」  いつのも声であやの先生は言った。