記憶をかきあつめて自分が完成するまで

            僕はコーヒー屋さんで、座ったまま居眠りをするのが得意だ。

起きた時の数秒間の寝ぼけまなこが好きだ。 その数秒間の軽い不安。

居眠りからさめて、記憶をかきあつめて自分が完成するまでの、数秒間が好きだ。

黒いパソコン。 閉じた本。 コーヒーの紙コップ。 黒い壁。 木目のテーブル。 女の人たちの話し声。 小さなBGM。 ライトの明かり。 食器の金属音。 足の感覚。 おしりの感覚。 手のしびれ。 服の感触。

やがて、僕は僕になっていく。 ここがどこだか分る。 最後に今が何時だか分る。