「人生は音楽だ」といったとしても、キザだとは感じられない

             心の起伏は、音符のようなものだと思う。

 高音ばかり続いていては、キーキーいってうるさい。  低音ばかりだと、ボーボーいってて陰気臭い。  計算された、あるいはセンスの良い、メロディーになっている方がいいと思う。適度に起伏があって、リズミカルな部分、穏やかな部分、急転回するところ、高揚するところ……などなど、様々なバリエーションがあって。

 生まれてから死ぬまでの間の心の起伏を音符として記録したものがあったとしたら、「人生は音楽だ」といったとしても、キザだとは感じられないだろう。

[初期エスキス] □穏やかな春の印象で始まる。平凡で安心して聴ける、ありきたりなメロディー。童謡のように郷愁をさそう、ちょっと古臭いけど、魅力的な。 □少し硬く優等生的に。ファミレスのBGMとして無難な感じ。 □コンテンポラリーダンスで使われそうな音楽。化学式や物理方程式がイメージされるような抽象的な感じ。 □明るい不協和音で、流れを断絶させる。既存のどのような音楽とも似ていない、まったく新鮮な音の連続。どんな楽器で演奏しているのかも想像できない。しかし、どこかしら明るく、高揚感を保っている。 □CMに使われそうなキャッチーなやつが、数小節ごとに入れ替わり立ち代わり、競うように登場する。はじめのうちは面白く感じるのだが、だんだん違和感が出てきて、そのうち軽い狂気の気配がしてきて不安な感じになってくる。 □突然音がが止む。何かのトラブルか? 終わったのか? 終わりのようだな…… □若々しい行進曲が小さな音量で始まる。だんだん音量があがってきて、重厚な感じになる。